※このページはプロモーションを含みます
iDeCo(個人型確定拠出年金)は「自分で自分の年金を作るための制度」です。
老後に向けた資産形成を行うため長く運用を続けるのが前提ですが、途中で運用方針を変更したくなることがあるかもしれません。そんなときに使える手段の1つが「スイッチング」です。
この記事ではiDeCoのスイッチングとは何か、どんなとき、何のために行うのか、メリットだけでなくデメリットもあわせて解説します。スイッチングを行うのに最適なタイミングについても紹介しますので、iDeCoを使いこなした有用な運用にお役立てください。
目次
「スイッチング」とは、文字どおり「スイッチ(切り替え)すること」を指します。一般的な金融商品における「スイッチング」は、今まで保有していた商品を売却して新しい商品を購入するという意味で使われます。「預け替え」と呼ばれることもあります。
では、iDeCoにおけるスイッチングとはどのようなものなのでしょうか。一般的な金融商品におけるスイッチングと何か違いはあるのか、続けて見ていきましょう。
iDeCoでスイッチングというとき、基本的には今まで積み立ててきた投資信託を売却し、別の投資信託を購入することを指します。
iDeCoのスイッチングは、「別の投資信託のほうが魅力的だから乗り換えたい」「投資先が国内ばかりに偏っているからもっと海外比率を高めたい」など、運用方針を変更したいときや資産内のバランスを整えたいときに行われるのが一般的です。
以下のグラフは、商品A~Dまでの4種類を100万円ずつ保有している人がスイッチングを行った場合の例です。
商品A | 商品B | 商品C | 商品D | 商品E | |
---|---|---|---|---|---|
スイッチング前 | 100 万円 |
100 万円 |
100 万円 |
100 万円 |
- |
スイッチング後 | 50 万円 |
50 万円 |
100 万円 |
150 万円 |
50 万円 |
商品Aと商品Bの保有額を減らし、その分を商品Dと商品Eに充てています。これによって、商品A~Dまで均等だった資産バランスから商品Dや商品Cを中心とした資産バランスに変わっています。
スイッチング後はオレンジ色の保有商品、保有額になりますが、その後の積立は従来どおり青色の配分で継続されていきます。
ちなみに、スイッチングと混同されやすいのが「配分変更」です。行う目的はどちらも同じですが、スイッチングは「今まで」積み立ててきた商品の預け替え、配分変更は「これから」積み立てていく商品の変更を指します。間違えないよう気を付けましょう。
合わせてこちらもチェック!
スイッチングをするとどんなメリットがあるのか、もう少し具体的に見ていきましょう。
iDeCoは、原則として60歳になるまでお金を引き出すことはできません。数十年にわたる長期間、ずっと積み立てや運用を続けていく人も多いでしょう。
長年運用していると、途中でより魅力的な投資信託を発見したり、状況が変わって方針転換したくなったりするかもしれません。
また特定の投資信託だけ大幅に増えた結果、全体のバランスが当初思い描いたものとかけ離れた状態になることもあります。そんなとき、スイッチングをすれば保有している商品を切り替えることができます。
スイッチングは、利益を確定させる(利確)目的で使うこともできます。
運用を続けていると、保有している資産の価値は常に変動していきます。もし一部の商品が大幅な値上がりをしたとしても、iDeCoは原則60歳まで換金することができません。
100万円で買ったものが200万円になっていても、60歳になるまでに下落して100万円に戻っていたら、利益はゼロということになります。
そんな事態を避けるため、値上がりしているうちにスイッチングして売却し、確実に利益が出る状態で運用をやめる(利確する)という方法が取られることがあります。
ただしiDeCoは本来、長期間の運用を前提としています。詳しくは後述しますが、短期的に値上がりしているからといって頻繁にスイッチングを繰り返すのはおすすめできません。
合わせてこちらもチェック!
投資信託を売却して利益が出た場合、通常は利益に対して20.315%の税金がかかります。しかしiDeCoなら、スイッチングを行って利益が出ても非課税で済みます。
通常の投資では50万円の利益が出ても、そのうち10万1,575円は税金として差し引かれ、残りは40万円を切ります。税金がかからないiDeCoと比べるとその差は歴然です。
iDeCoにはこのほかにも税制優遇があるため、通常よりかなりおトクに投資できると言えます。
iDeCoのスイッチングをすることで、リバランスが可能です。リバランスとは、商品の売却や購入を通して、当初の運用計画と現状のズレを調整することを指します。
たとえば最初に「複数の資産を均等に保有する」という計画を立てて積立額を設定しても、長く運用を続けているうちに下落する資産と上昇する資産の差がついてきて、比率が変わってしまうことがあります。
スイッチングを行えば、当初の計画に沿った比率に戻すことができ、理想に近い運用を行うことができるでしょう。
iDeCoのスイッチングには、手数料はかかりません。ただし、スイッチング自体は無料でも、選んだ商品によっては「信託財産留保額」など売却に際して別のコストがかかる場合があります。
売却時のコストの有無やどれくらいかかるかは商品ごとに違うので、できれば購入前、遅くとも売却前に確認しておきましょう。投資信託の場合は目論見書(投資信託説明書)に記載されています。ちなみに、iDeCo以外でスイッチングを行うときも同様です。
iDeCoのスイッチングには、メリットだけでなくデメリットもあります。詳しく見ていきましょう。
スイッチングは回数制限がないため何度でも可能です。しかし、やりすぎると損につながる可能性もあるので注意が必要です。
頻繁なスイッチングは、長期投資ならではの魅力である「複利の効果(利益が利益を生んでどんどんお金が増えやすくなっていくこと)」を損なうことにつながります。
利益を確定させたものの、その後もどんどん上がっていって「もっと待てばよかった」と思うこともあるかもしれません。
また、運用している投資信託がマイナスになっているときにスイッチングが頭をよぎることもあるでしょう。しかし価格が下がっているときは「同じ積立額でもたくさん購入できるチャンス」と捉えることもできます。
せっかくのチャンスを自分でつぶしてしまうことがないよう、スイッチングは慎重に行いましょう。
iDeCoのスイッチングには時間がかかります。売却が完了するまで数日、売却完了を確認してから購入に移り、購入が完了するまでまた数日を要するのが一般的です。場合によっては、手続きを開始してから完了するまで1週間以上かかることも。
この間も、投資信託の価格は毎日変動しています。スイッチングの手続きを開始したときの価格と、完了したときの価格が異なる可能性も充分あります。想定より安く売ってしまう(高く買ってしまう)リスクもあるので要注意です。
ちなみに、スイッチングの手続きは難しくありません。金融機関が用意したiDeCo加入者用のサイトにログインして「スイッチング」など該当の箇所を選択したら、あとは画面の案内に沿って操作するだけなので作業自体はすぐに終わるでしょう。
先述のとおり、iDeCoのスイッチングを頻繁に行うのは避けたいところです。では、本当にスイッチングを検討すべきなのはどんなときなのでしょうか。具体的に解説します。
スイッチングは、リバランスを行いたいときに有効な手段です。リバランスとは、資産配分を調整して「当初の運用計画」と「実際の運用状況」のズレを直すことです。
長く運用し続けていると、どうしても当初の資産配分とは変わってきます。ときどき確認してリバランスするのが理想的です。リバランスは、維持管理に必要なメンテナンスのようなものとも言えます。
iDeCoの場合、数十年にわたって長期的に運用していくのが基本なので、運用状況の確認は年1回程度で問題ないでしょう。リバランスはさらに低い頻度でも充分なくらいです。
自分の誕生日や大晦日など、1年のうちどこか覚えやすい日を「運用状況チェックの日」と決めておくと、定期的にリバランスしやすいのでおすすめです。くれぐれも、短期的な値動きに一喜一憂して判断しないようにしましょう。
リバランスが面倒だと感じるなら、自動的にリバランスを行う機能がある「バランス型投資信託」を最初から選んでおくという方法もありますよ。
ちなみに、スイッチングは何度でも行えます。法律上は「3ヶ月に1回以上は可能」という規定になっていますが、多くの金融機関では特に回数制限を設けておらず、いつでも手続き可能です。
iDeCoは、原則60歳から75歳までのあいだに運用を終え、受け取りを開始します。いつから受け取るかは自分で選べますが、もし受け取り始めようと思っていたタイミングと、市場が荒れて暴落するタイミングが重なってしまうと大変です。
「想定より少ない金額しか受け取れなかった」「理想のタイミングで受け取れない」という事態を防ぐには、運用終了(受け取り開始)予定の数年前から、徐々に利益を確定させて準備を進めていくと安心です。定期預金など、よりリスクが低い商品への切り替えを検討してみましょう。
合わせてこちらもチェック!
投資信託がマイナスになってしまったタイミングで、スイッチングを検討する人も多いようです。ただ、焦りは禁物です。短期的な値動きだけを見て感情的に判断するのは、失敗の元だからです。
「iDeCoで運用すればお金が増え続ける」とは限らず、長期にわたって保有しているうちに下がってしまう時期があるのが普通です。不安になったら、自身の保有商品だけが下がっているのか、市場全体が下落傾向なのかチェックしてみましょう。
市場全体の動向を確認しつつ、長い目で見て冷静に判断したいところです。
そのほか、iDeCoでスイッチングする際の注意点を確認しておきましょう。
この記事で触れた「スイッチング」「リバランス」「配分変更」の3つは、専門用語でわかりにくいうえに意味が似ているので混同されがちです。
「スイッチングをしようと思っていたのに配分変更してしまった!」というミスを防ぐためにも、ここで整理しておきましょう。
リバランス | 運用方針に合うよう、資産バランスを調整すること |
---|---|
スイッチング | リバランスのための手段の1つ。【今まで】積み立ててきた商品を切り替えること |
配分変更 | リバランスのための手段の1つ。【これから】積み立てていく商品を変更すること |
ざっくり言うと、スイッチングは過去、配分変更は未来に向けての変更です。
配分変更を行った場合、今まで積み立ててきた内容は変わらず、今後の積立内容だけが変わることになります。それとは逆に、スイッチングは今まで積み立ててきた内容を変えるもので、今後の積立内容は変わらず、今までと同じ商品に同じ金額が積み立てられていきます。
スイッチング | 配分変更 | |
---|---|---|
今までの積立内容 【過去】 |
変わる (※商品を 預け替えるため) |
変わらない |
今後の積立内容 【未来】 |
変わらない | 変わる (※今後の配分を 変えるため) |
上記は勘違いしやすいポイントなので注意しましょう。両者を同時に行うこともできます。ちなみに、スイッチングも配分変更も回数制限はありません。
iDeCoのスイッチングは、資産のバランスを調整したいときや運用方針を変更したいときに役立ちます。いつでも何度でもできますが、頻繁に行いすぎた結果、お金を増やすチャンスを逃してしまうケースもあるので要注意です。
iDeCoの資産はじっくりコツコツと育てていくものです。スイッチングは短期的な値動きだけを見てあせって判断するのではなく、慎重に計画的に行っていくようにしましょう。
確定拠出年金はスイッチングしないほうがいい?
あまり頻繁に行うのはおすすめしません。
スイッチングはいつでも何度でもできますが、頻繁に行うと損につながることもあるので要注意です。
iDeCoのスイッチングは特に手続きに時間がかかります。「複利の効果」や「ドルコスト平均法」で得られる恩恵を失ってしまうかもしれません。保有している商品が下落するとあせってしまいがちですが、市場の動向を見極めて冷静に対処したいところです。
SBI証券のiDeCoのスイッチングに手数料はかかる?
SBI証券ではスイッチング自体に手数料はかかりません。ただし…
スイッチングを行ったからといって、その行為に対して手数料がかかることは通常ありません。ただし選択した商品によっては、売却時に代金から「信託財産留保額」などが差し引かれる場合があります。
差し引かれるかどうかや、どれくらい差し引かれるかは目論見書(投資信託説明書)等で確認できます。
iDeCo(イデコ)は一人一口座しか持てないため口座選びが重要。でも、多くの金融機関の中からどこを選べばよいか迷いますよね。そこで、分かりやすい基準として、iDeCo専門サイトNo.1の「iDeCoナビ」でよく見られている金融機関と、独自サービスがある注目の金融機関をご紹介します。
SBI証券
楽天証券
松井証券
\ この記事をシェアしよう /
iDeCoのスイッチングはデメリット?投資信託がマイナスでも、しないほうがいい?
・当サイトの掲載情報は執筆者の見解であり、あくまでも参考情報の提供を目的としたものです。
最終的な投資決定は、各取扱金融機関のサイト・配布物にてご確認いただき、ご自身の判断でなさるようお願い致します。
・当サイトの掲載情報は、信頼できると判断した情報源から入手した資料作成基準日における情報を基に作成しておりますが、当該情報の正確性を保証するものではありません。また、将来的な予想が含まれている場合がありますが、成果を示唆あるいは保証するものではありません。
・当サイトは、掲載情報の利用に関連して発生した一切の損害について何らの責任も負いません。
・当サイトの掲載情報は、各国の著作権法、各種条約およびその他の法律で保護されております。
・当サイトへのリンクは原則として自由ですが、掲載情報を営利目的で使用(複製、改変、アップロード、掲示、送信、頒布、ライセンス、販売、出版等)する事は禁止します。